室内飼いの猫をとりまく状況

ここでは、室内飼いの猫にフォーカスして、猫たちをとりまく状況を見てみましょう。

家族の一員として癒しを与えてくれる飼い猫たち。
近年では、単なる「ペット(愛玩動物)」にとどまらず、人と人生を共にする「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」としても認識されるようになってきました。心身のリラックス、孤独感の軽減、生きがいを得られるなど、ともに日常を過ごす猫たちは、かけがえのない家族といえるでしょう。


ペットとして飼う猫も、生後半年を過ぎると繁殖可能な成猫となります。多頭飼いの環境で適切に不妊・去勢手術を行われていない場合は、飼い猫同士の繁殖により急激な個体数増加に至ることもあります。 最近では頻繁にニュースにもなっている「多頭飼育崩壊」と呼ばれるケースです。(猫は1回の出産で4~8頭の子猫を生み、1年に2~4回の出産が可能なため、1頭の猫が1年間で20頭以上に増えることも考えられます。)

また、飼い主さんの体調問題(病気、入院、アレルギー発症、老齢による体力低下など)や、経済状況の悪化により飼育継続が困難となるケース、引っ越しや結婚・離婚など生活環境の変化により飼育放棄されるケースなども発生しています。

近況としては、長引く新型コロナウイルス禍により癒しを求めてペットを飼う人がさらに増加していますが、安易に飼い始めた結果、「世話が面倒」「思ったよりお金がかかる」「盛りがきて鳴き声がうるさい」などの身勝手な理由で飼育を放棄するケースが、残念ながら存在しているようです。


これら室内飼いの猫をとりまく状況を改善していくためには、以下のような取り組みが考えられます。

・飼養サポート
飼い主さんの体調問題による一時的な飼育困難については、猫シェルターでの一時預かりやペットシッターによる飼育代行によるサポート。恒久的に飼育が困難となる場合には、新しい家族(里親)を探す譲渡活動をサポートし、飼い主さんの負担を軽減する。

・適正飼養のすすめ
不妊・去勢手術の徹底や、過剰な飼育数とならないよう適正頭数での飼育など、適正飼養についての啓発・広報を継続して行う。また、多頭飼育崩壊が発生してしまった場合には保健所等と連携した対応を検討し、引き取り手のいない不幸な猫を可能な限り減らす方法を模索する。

・猫の相談窓口
猫の相談窓口を設け、飼養に関する相談サポートを行う。
飼い主さんが一人で悩みを抱えたり、解決が困難に思われることも、猫に関するコミュニティを通じて対応することで、解決への道のりが開けることもあります。


飼育困難、飼育放棄および多頭飼育崩壊は、飼い主さんの生活環境の変化に伴い誰にでも起こり得る問題といえます。その一方で、適正飼養についての理解を深めることで未然に防ぐことができるケースも多く、また一人で悩まずにコミュニティを通じて助け合うことで解決するケースもあると考えられます。
大切な家族である猫たち、そして飼い主さん自身が不幸にならないためにも、いま一度「猫を飼う」ということを改めて考えることが大切です。


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