『小樽ねこ邸』

「ペットと暮らす小樽のまちづくり」

毎年秋にに開催している「いちにち限りの猫の催し『小樽ねこ邸』」でのシンポジウム、「ペットと暮らす小樽のまちづくり」の特設ページです。
猫と人が共生する街において、いま何が問題となっているのか、何が原因なのかを正しく認識し、猫と人が共に幸せに暮らしていけるよう、皆様と一緒に未来志向での街づくりを考えるきっかけになれば幸いです。


小樽はノラ猫の天国?

漁港があり多くの市場が点在するここ小樽では、街の広範にわたってたくさんの猫を見かけることができます。
特に長く厳しい冬が過ぎると、どこかでじっと身を潜めていたノラ猫たちが次々と活発に動きだします。寒さと飢えを何とかしのいで生き残った生命力逞しい猫たち。ただその陰には、冬を越えることができなかった多くの命があるという現実にも、私たちは目を向けなければなりません。
また、北海道のシンボルともいえるキタキツネや身近に多く生息するカラスも、猫たちにとっては命を脅かす強力なな外敵。雪の無い季節においても、外猫たちは常に危険にさらされているのです。

 


猫をとりまく状況

それでは、猫をとりまく状況に目をむけてみましょう。
以下は、屋内で飼育されている「室内飼いの猫」、屋外を活動する「外飼いの猫」そして「ノラ猫」と分類し、それぞれの猫たちがさらされる脅威や問題を示しています。

猫をとりまく状況の詳細
・ノラ猫、外飼いの猫をとりまく状況の詳細については、こちら
・室内飼いの猫をとりまく状況の詳細については、こちら


直面する問題への対処

猫をとりまく状況においては、直面する問題への『直接対処』と、問題の根本原因となっている事柄への『根本対処』の両方が必要となります。

『直接対処』とはいま目の前にある問題への緊急的対応であり、『根本対処』とは問題の原因を取り除き、将来にむかって状況の改善や解決につながる対応であるといえるでしょう。

種別    直面する問題   直接原因根本原因                   考えられる対処
飼い猫  飼育困難、
飼育放棄
・飼い主の高齢化、病気、入院
・生活環境の変化(引っ越し、結婚、出産、その他)
・経済状況の悪化
適正飼養の知識不足【直接対処】
・一時預かりなどの飼育サポート
・ペットシッターの斡旋
・譲渡サポート
【根本対処】
・適正飼養の啓発、広報
飼い猫多頭飼育崩壊・不妊・去勢の非処置による繁殖爆発
・過剰な猫の受け入れによる適正頭数オーバー
・不妊・去勢の非処置
・適正飼養の知識不足
【直接対処】
・保健所等と連携した対応検討
【根本対処】
・適正飼養の啓発、広報
ノラ猫、
外飼い猫
糞尿問題・餌やりマナーの悪さ
・猫の習性による行動
・餌やりに関する知識不足
・ノラ猫、外飼い猫の増加
【根本対処】
・正しい餌やりの啓発、広報
・ノラ猫と外飼い猫の増加抑制(ノラ猫保護と不妊処置のサポート、TNR活動の推進、室内飼いの推奨)
ノラ猫、
外飼い猫
外敵による猫被害キツネやカラスなど害獣の増加ノラ猫、外飼い猫の増加【根本対処】
・ノラ猫の増加抑制(保護と不妊処置のサポート、TNR活動の推進)
※被害の最小化
ノラ猫、
外飼い猫
猫の交通事故ノラ猫、外飼い猫の増加【根本対処】
・ノラ猫の増加抑制(保護と不妊処置のサポート、TNR活動の推進)
※被害の最小化
ノラ猫環境による猫の短寿命厳冬、酷暑、エサ不足ノラ猫の存在【根本対処】
・ノラ猫の増加抑制(保護と不妊処置のサポート、TNR活動の推進)
※被害の最小化

最終目標に向かって

「猫と人が共生する、より良い街」となるように、目の前にある問題へ対処すると同時に、未来につながる活動を継続して行うことが大切です。一人一人が「意識」し、それぞれが「協力」して「行動」することで、「人にも猫にも環境にも優しい」まちづくりを行っていければ幸いです。


猫の知っ得 コーナー

・全国では 年間約5.3万頭 の猫が引き取られています
引き取られた猫のうち 約1万頭は、飼い主から引き取られた猫です。
引き取られた猫のうち 約2.6万頭は譲渡となり、そのうちの1.6万頭が子猫です。
引き取られた猫のうち 約2.7万頭の猫が、殺処分されています。
(※)2019年4月1日~2020年3月31日の期間の統計より

・猫を捨てることは犯罪です
「愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と法律で定められています。
(動物の愛護及び管理に関する法律第44条)

・1頭の雌猫が1年間で20頭以上に増えることが可能です
雌の子猫は生後4~12ヵ月で繁殖できるようになります。そして、猫は1回の出産で4~8頭の子猫を生み、1年に2~4回の出産が可能です。このような生態から、ノラ猫が自然繁殖を繰り返し、生まれた子猫が捕食されたり、過酷な自然環境で命を落とすということが繰り返されています。また、不妊・去勢手術をしていない飼い猫同士が繁殖し、飼育崩壊に至るケースも発生しています。

・猫が増えすぎることで様々な問題が起きています

飼っている猫の数が増えすぎると適切な世話が行き届かず、糞尿や鳴き声(不妊・去勢手術がされていなければ盛り時期の鳴き声も)などで周囲への迷惑となります。近隣とのトラブルが裁判へ発展するケースもあり、近年では多頭飼育崩壊の発生が、頻繁にニュースにもなっています。

・猫は人と暮らすように変化した動物で、自然に生きる野生動物ではありません
街でみかけるノラ猫は、もともとは人に捨てられたり、迷って家に帰れなくなった猫が外で暮らすようになったものです。日本では、イリオモテヤマネコ や ツシマヤマネコ のような一部を除けば、野生の猫というものはほぼ存在しません。
ノラ猫は、暑さや寒さ、カラスやキツネなどの外敵、飢え、病気などにより、その多くは2~3年しか生きられないと言われています。家で飼われている猫が10年以上、長寿であれば20年も生きることを考えると、ノラ猫たちの生きていく過酷さが想像をはるかに超えるものだということがわかります。


『小樽ねこ邸』

~いちにち限りの猫の催し~
小樽市の指定歴史的建造物である旧寿原邸が、1日中猫尽くしに!
大正時代の趣ある邸宅と猫とのコラボレーションをお楽しみください。


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