なぜ、私たちは小樽で猫の保護活動を続けているのか

猫のシェルターアリエルは、小樽という地域で起きている現実に向き合う中で生まれた団体です。

この街では、外で暮らす猫たちの存在が、日常の風景の一部になっています。
港や市場、路地裏、空き家の周辺—— 人の営みのそばで、ひっそりと生きる猫たちがいます。

しかしその多くは、寒さや飢え、病気、そして繁殖を繰り返す環境の中で、決して安定した命とは言えない状況に置かれています。


■ 小樽という場所だからこそ見える課題

小樽は、観光地として知られる一方で、高齢化や空き家の増加といった地域課題も抱えています。漁港や市場、空き家が点在する環境の中で、外で暮らす猫たちが増えやすい傾向があり、さらに、長く厳しい冬を越えなければならないこの地域では、寒さや飢え、感染症によって命を落とす猫も少なくありません。

また、高齢化が進む地域特性から
 ・飼い主が体調を崩し、入院・施設入所する
 ・不妊手術がされないまま繁殖が進む
 ・飼育頭数が限界を超えてしまう
 ・飼育している猫が病気となり、高額な医療費が生活を圧迫する

といった問題も現実に発生しています。
これらは自然に解決されるものではなく、誰かが介入しなければ「不幸な命の連鎖」が続いてしまいます。こうした状況は、決して特別な出来事ではなく、地域の中で繰り返し起きている現実です。


■ 都市部との違いの中で

① 支援の集まり方の違い
都市部では、企業・団体・個人からの支援が集まりやすく、保護施設やボランティアの数も比較的充実しています。
一方、小樽のような地方都市では
 ・活動団体の数が限られている
 ・支援者の母数が少ない
 ・継続的な寄付が集まりにくい

という現状があり、少人数で多くの命を支えている状態です。


② 受け皿(保護施設)の不足
都市部では保護猫カフェやシェルターなど、猫を受け入れる選択肢が複数ある場合があります。
しかし小樽では、猫を受け入れる施設は非常に限られており、行き場のない猫がそのまま外で生きるしかないケースが大変多くあります。つまり、「助けたくても助けきれない」現実が存在しています。


③ 気候の厳しさ
本州の都市部と比べ、北海道の冬は命に直結する厳しさです。
 ・氷点下の環境
 ・長期間の積雪
 ・食べ物の確保が困難

これらの条件は、外で暮らす猫にとって極めて過酷であり、生まれても無事に育つ確率は決して高くありません。

■ 活動の原点にあるもの

私たちの活動の出発点は、特別なものではありません。

目の前にいる猫が、このままでは生きていけないかもしれない—— そう感じたときに、「関わらない」という選択ができなかったこと。それが、すべての始まりです。 保護し、不妊手術を行い、新しい家族へつなぐ。あるいは、行き場のない猫に、安心して過ごせる場所を用意する。

その積み重ねが、今の活動につながっています。


■ 小樽の外へ、ひらいていく活動

この活動は、小樽という地域から始まっていますが、決してこの街の中だけで完結するものではなく、地域だけで抱えきれる規模ではないのが現実です。猫の問題は、どの地域にも共通する側面を持ち、社会全体で向き合っていくべき課題でもあります。

だからこそ、私たちは
 ・活動の様子を発信すること
 ・取り組みの背景を伝えること
 ・関わり方の選択肢をひらいていくこと

を大切にしています。


■ 関わり方は、それぞれのかたちで

現地で活動することだけが、関わり方ではありません。離れた場所からでも、知ること、伝えること、見守ること。その一つひとつが、活動を支える力になります。
その積み重ねが、「助からなかったかもしれない命」を「未来へつながる命」に変えていきます。

小樽で起きていることを、ひとつの地域の出来事としてではなく、少しだけ身近なこととして感じてもらえたなら。それが、私たちにとって何より大切なことです。


■ 未来に向けて

人と猫が、無理なく共に生きていける地域をつくること。
そのために必要な一歩一歩を、これからも積み重ねていきます。

小樽から始まったこの活動が、この街の中だけでは届かない手に少しずつ広がりながら、より良いかたちで続いていくことを目指して。